DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
さて、今日のお話は、
「5つの力が劇的に変わるタイミング」
というテーマです。
先日よりお伝えしている、
ファイブ・フォース・モデル分析では、
自社を中心に、
自社から見た他社による脅威を
次の5つにまとめています。
1 同じ業界内の競合企業との競争
2 供給業者の競争力と交渉力
3 新規参入業者の参入
4 顧客、買い手の交渉力
5 代替サービスの出現と市場争奪
今日は、最終日。
イメージしやすい自動車メーカーを例にとって、
4 顧客、買い手の交渉力
5 代替サービスの出現と市場争奪
この観点について解説します。
4 顧客、買い手の交渉力
買い手の交渉力とは、
多くの場合、
値下げ交渉です。
自動車メーカーにとっての顧客とは、
個人だけではありません。
社用車を購入する企業、
新車を大量に購入してくれるレンタカー会社、
リース会社、タクシー会社も顧客となります。
法人顧客は、自動車購入時に
よりコストの安いメーカーのクルマを選ぶため、
車両価格だけでなく、
運用コスト、燃料代、保険料、再販売価格(下取り価格)、
メンテナンス代なども含めた所有にかかる
トータルコストも
非常に大きな決定要素になります。
EV化により
自動車の価格が安くなるだけでなく、
昨日お話しをしたように、
誰でも部品を買ってきて組み立てが可能になると、
家電やパソコンのように、
大量に安価な部品を購入し、
組み立てただけの安価な最終製品を
製造・販売する企業が出てくるでしょう。
また、顧客によっては、
所有よりシェアを選択することもできます。
このように、顧客には
多様な選択肢が生まれることになるため、
自動車メーカーは「交渉力」という点で
非常に厳しい立場に立たされることになりかねません。
5 代替サービス
所有から利用へ、
シェアリングの流れは、
自動車メーカーの顧客にとって、
移動という需要を満たす代替手段として、
ライドヘイリングやカーシェアの力を強めています。
タクシーも
無人タクシーというサービスに変わることで、
運転手が不要になり、
原価が半分になることで、
利用料金も大幅に下がり、
今よりも移動手段としての利用価値が
高まります。
これからの10年間では
まだ脅威になるほどの存在にはならないとは思いますが、
パッセンジャー・ドローン(空飛ぶ無人タクシー)も、
自動車の代替サービスとして
脅威をもたらす可能性があります。
すでに、この分野には、
Uberのほか、
エアバスなどの航空機メーカーはもちろん、
掃除機メーカーのダイソンなど、
まったくの異業種も興味を示しています。
移動の代替サービスという点では、
移動する必要性自体を奪ってしまうのですが・・・、
Zoomのようなオンライン会議のSaaSサービスや、
VR/ARによるオンライン会議、
遠隔教育、オンライン通販、オンライン診断なども
対象になります。
テクノロジーやビジネスモデルの進化によって、
世界中のさまざまな企業が
それぞれのDX化を実現しようとする中で、
社会全体が大きく変わっていきます。
そのようなとき、
ポーター教授が1979年に発表した
ファイブ・フォース・モデルを使って、
自社の置かれている競争環境を見直してみるのは、
非常に重要です。
これまで、
私たちにとって、
イメージしやすい自動車業界を例にとりましたが、
ほとんどすべての業界で、
5つの力すべてが劇的に変わるタイミングにいます。
ぜひ、
あなたの会社にとっての10年後の競争環境を、
ファイブ・フォース・モデル分析を使って
整理してみてください。
明日は、
「再確認!デジタル化の戦略的な意味」
というテーマでお話しします。
お楽しみに!
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。
5つの力が劇的に変わるタイミング
