3DプリンターでEV車を自作する時代

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DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
  
 
 
さて、今日のお話は、
 
「3DプリンターでEV車を自作する時代」
 
というテーマです。
 
 
 
昨日ご紹介した、
 
ファイブ・フォース・モデル分析は、
 
自社を中心に、
 
自社から見た他社による脅威を
 
次の5つにまとめています。
  
 
1 同じ業界内の競合企業との競争
2 供給業者の競争力と交渉力
3 新規参入業者の参入
4 顧客、買い手の交渉力
5 代替サービスの出現と市場争奪
 
 
 
今日は、
 
昨日に引き続き、
 
自動車メーカーを例にとって、
 
3 新規参入業者の参入
 
この観点について解説します。
 
   
  
3 新規参入業者
 
これから先、
 
誰でも自動車を組み立て、
 
作れる時代がくるでしょう。
 
 
 
なぜなら、近い未来には、
 
EV化と3Dプリンタによる部品製造により
 
1台の自動車を作るのに必要な部品は、
 
現状の100分の1以下に減らすことができ、
 
その部品だけ買ってくれば
 
誰でも組み立てられるようになるからです。
 
 
 
ところで、

自動車のEV化と3Dプリンタが
 
部品点数を減らせる理由とは何でしょうか?
 
 

自動車の動力がエンジンの場合、
 
シリンダ内で燃料を爆発させるため、
 
高温と高圧に耐えられるだけの金属が必要でした。
 
 
  
その金属を作るためには、
 
金型に高温に熱して溶かした鉄を流し込み、
 
冷却するという工程が必要です。
 
  
 
しかし、この工程は、
 
複雑な形状の部品を作ろうとすると、
 
均等に熱をさますことが難しく、
 
その結果、ヒビや歪みを生んでしまうため、
 
複雑な形状のものをつくることが出来ませんでした。
 
 
 
そこで、複雑な形状の部品は、
 
敢えて単純な形状の部品に分けて作り、
 
ネジやボルトで留める方法で作らざるを得ませんでした。
 
 
 
これが、
 
エンジン車がEV車に比べて部品点数が多い理由です。
 
 
 
一方、EV車では、
 
導線を軸に巻き付けたコイルに電流を流し、
 
その周りに磁石を置いておくことで
 
軸が回転するという仕組み(=モーター)のため、
 
エンジンのような複雑な形状にはなりません。
 
 
 
また、
 
部品は鋼鉄ほどの強度は求められず、
 
むしろ軽量なものが好まれます。
 
 
したがって、
 
モーターを支える部品も
 
クルマのシャーシも軽量のものが好まれ、
 
金型を使って鋼鉄を流し込む必要はなくなります。
 
  
 
したがって、
 
これらを3Dプリンタで作ることも可能になってきます。
 
 
 
また、
 
3Dプリンタを使って「OLLI」という
  
無人の自動運転ミニバスを開発している、
 
Local Motorsのジェイ・ロジャーズCEOによると、

 
複雑な形状の部品を
  
3Dプリンタで作ることにより、
 
EV化によるものに加えて、
 
さらに部品点数が
 
1桁減ったと言っています。
 
 
 
繰り返しとなりますが、将来、
  
自分でクルマを設計し、3Dプリンタで出力し、
 
そこにモーターやシャフト、
 
バッテリーやその他の電装部品、
 
シートを付けるだけで、
 
公道を走れるクルマを作ることが可能になります。
 
 
 
衝突テストなどのさまざまな安全性テストも、
 
VRシミュレーションで出来るようになっているため、
 
米国などでは、
 
個人がクルマを作ることもできるようになるでしょう。
 
 
 
ジェイ・ロジャーズCEOは、
 
そういったことを手助けするマイクロファクトリーが
 
世界中に増えていくと言っています。
 
  
そのとき、
 
これらマイクロファクトリーは、
 
自動車メーカーにとって新規参入業者となります。
 
 
 
明日は、
 
「5つの力が劇的に変わるタイミング」
 
というテーマでお話しします。
 
 
 
お楽しみに!
 
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。

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