鶏の羽からナゲットを創る技術

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DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
 
 
昨日は、
  
「拍動する3Dプリント心臓」
 
というテーマでお話ししました。
 
 
医療への利用も広がっている
3Dプリンタ。
 
 
骨の移植、歯の強化、カスタムフィッティング補綴、
臓器移植、神経の修復などが
 
日々、研究されています。
  
  
バイオエンジニアは、
3Dプリンタと再生医療を使用して、
 
人体の修復、治療、修復方法を
大幅に進化させています。 
  
 
3Dプリントされた 
心臓発作を起こさない健康な心臓や、
吸気用に最適化された肺など、
 
私たちの病気の治療方法として、
現れる日も近いでしょう。
 
   
 
さて、今日は、  
  
「鶏の羽からナゲットを創る技術」
  
  
というお話です。
   
 
 
世界の人口増加に対応する
より持続可能なソリューションとなっている、 
  
植物由来タンパク質を使用した
3Dプリント肉。
  
 
家畜は、
世界の人為的温室効果ガス排出量のうち、
14.5〜18%を
占めていると言われています。 
 
 
例えば、
牛肉、豚肉、鶏肉
それぞれ1Kg作るために、
 
どのくらいの穀物が必要か?
 
ご存知でしょうか?
 
 
牛肉1kgには、10 kg
豚肉1 kgには、4 kg
鶏肉1 kgには、2kg
  
 
の穀物が必要とされます。
  
 
  
つまり、
穀物をこれらの家畜に食べさせるのではなく、
 
人間が食べたら、
飢餓問題を大きく改善できるということになりますね。
 
 
しかし、
もし牛一頭を育てなくても、
牛肩ロースが食べられるとしたらどうでしょうか? 
 
  
人間の臓器を3Dプリンタで作れるのであれば、
牛の筋肉やレバー(肝臓)も作れるはずです。 
 
 
そう、
医学で研究が進むバイオプリンティングの技術は、
食糧問題も解決してくれます。
 
 
さらに、
この3Dプリント肉は、
 
滅菌されたクリーンルームの中で
培養されるので、
 
現在の抗生物質まみれの
牛肉・豚肉・鶏肉より
 
安全で、環境にもやさしいという利点もあります。 
 
 
 
ラボ(研究室)で作られた
世界初の鶏肉を提供した会社
Memphis Meats社(カリフォルニア州サンフランシスコ)。
 
 
2017年8月にシリーズAラウンドで、
 
ベンチャーキャピタルのDFJや、
マイクロソフトの創始者であるビル・ゲイツ氏、
  
ヴァージングループの創始者である
リチャード・ブランソン氏等から
 
出資を受けて急成長しています。
 
 
このMemphis Meats社に
2018年1月に驚くべき金額を投資したTyson Foodsは、
 
毎週、
豚約424,000頭、牛130,000頭、鶏3500万羽を
 
処理している
米国で最大の肉処理業者でした。
 
 
その食肉処理業者が、
自らをディスラプトしかねない事業に
投資をした理由は、
 
「肉会社からタンパク質会社に移行する」
 
ことを決めたからだと。
 
 
さらには、
 
「我々が最大のタンパク質会社になるという意識的な決定を下した」
 
と付け加えました。
 
 
同じくサンフランシスコにある
食品会社Justは、
 
鶏の羽の細胞からナゲットを作り出すことに成功しました。
 
 
そのナゲットの肉の元となる細胞を
提供した鶏は、
 
羽を提供しただけなので、
ナゲットが作り出された後も
 
ラボ(研究所)のそばの農園を歩いていました。
  
  
このナゲットは、
動物を屠殺することなく手に入り、
 
遺伝子操作されておらず、
抗生物質も必要としていません。 
 
  
また、
人間から穀物を奪い取ることもありません。
 
  
 
今日は、
植物由来タンパク質を使用した
3Dプリント肉について、
 
世界の人口増加に対応する
より持続可能なソリューションとなっている点、
 
遺伝子操作なく、
抗生物質などで汚染もされていない点などから、
 
非常に期待されている技術だと
 
お伝えしました。
 
 
環境への有害な影響なしに
肉の需要を満たすことができるこの技術は、
 
今後5年間で
そのコストは下がり、
質感も向上すると言われています。 
 
 
もうすぐクリスマス。
 
 
私たちの食卓に、
3Dプリントで作られたクリスマスチキンがならぶ日も
そう遠くないかもしれませんね。
 
 
 
明日は、
     
「4Dプリンティングの大きな可能性」
   
というテーマでお送りします。
    
    
お楽しみに!

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