長く続く企業の条件「Sカーブ」

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DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
  
 
 
 
さて、今日のお話は、
 
「長く続く企業の条件「Sカーブ」」
 
というテーマです。
  
  
 
 
数十年にも渡り、
 
長く続いてきた企業は、
 
連続したSカーブを描いて成長する
 
と言われています。
 
 
 
このSカーブ効果は、
 
2010年にChandana Jayalath氏の概念で、
 
「Understanding the S-curve of innovation」
 
とタイトルが付けられていますが、
 
これは、先々、
 
ご紹介する「Jカーブ」と同じだと理解してください。
  
 
 
共に、企業の成長を表していますが、 
 
「Jカーブ効果」と「Sカーブ効果」との違いを
 
簡単にお伝えすると、 
 
 
Jカーブ効果は
 
事業の始まりからスケールするまでの
 
「死の谷」に
 
フォーカスが当たっているのに対し、
 
 
Sカーブ効果は、
 
カーブ後半の衰退するタイミングに
 
フォーカスが充てられています。
 
  
 
つまり、Sカーブ効果は
 
カーブの後半の衰退するタイミングで、
 
次のSカーブが始まっていれば、
 
高い業績を出し続けられる
 
ということを言っています。
 
 
 
例として、
 
音楽メディアとプレイヤーから、
 
考えてみましょう。
 
 
 
最初のSカーブは、
 
カセットテープと再生機だとします。
 
 
 
カセットテープの誕生とともに、
 
ラジカセ(ラジオ付きカセットテーププレイヤー)が
 
市場を作ります。
 
 
 
時が経つとともに、
 
ラジカセはウォークマンとなり、
 
そのウォークマンも最初は重く大きかったものが、
 
サイズがスリム化され、
 
軽量化された商品に代わっていきます。
 
 
 
そして、次のSカーブは
 
「CD/MD」
 

 
「CDプレイヤー/MDプレイヤー」
 
です。
 
 
 
CDが誕生することで、
 
カセットテープはその役割を終え、
 
MDやCDプレイヤー/MDプレイヤーに
 
代わっていきます。
 
 
 
そして、3番目のSカーブは、
 
そのCDが
 
メモリー型のプレイヤーである
 
メモリースティックとダウンロード販売に移行時に
 
うまく移行できなかった時で、
 
iPodとiTune Music Storeに取って代わられます。
 
 
 
ソニーは、
 
2つ目のSカーブまで成功しましたが、
 
3つ目でアップルに市場を奪われました。
 
 
 
その経緯を少し詳しく紹介すると、
 
ソニーは、
 
3つめのSカーブへの移行を実現するために、
 
CBSを買収し、
 
ソニーミュージックとソニーピクチャーズを作りました。
 
 
 
しかしながら、
 
ダウンロード販売を実現するために必要な
 
デジタル音源やデジタル映像の著作権を
 
ディズニー等との調整ができずにおり、
 
メモリースティック・ウォークマンへの移行に
 
手間取っていました。
 
 
 
ところがその当時、
 
アップルに戻ったスティーブ・ジョブスは、
 
彼が保有していたピクサー社をディズニーが欲しがったため、
 
ディズニーと株式交換したことにより、
 
ジョブズがディズニーの個人筆頭株主になり、
 
社外取締役にも就任しました。
 
 
 
それにより、
 
アップルはiPodを開発し、
 
iTune Storeでダウンロード販売を開始できました。 
 
 
 
こうした中、
 
結果的にソニーは3つ目のSカーブに乗り損ね、
 
中年期に突入、高齢期に至ります。
 
 
 
アップルも、
 
安定期にiPhoneという新たなSカーブに飛び移りましたが、
 
音楽・映像分野は集中力を欠いていたのでしょう。
 
 
 
この分野の4つ目のカーブには乗り遅れ、
 
SpotifyやAmazon Music, Amazon Prime Video, Netflix 等の
 
サブスクリプションモデルに
 
市場を奪われてしまいます。
 
 
 
このように、市場が安定期にいるうちに、
 
次のSカーブに乗り移らない限り、
 
どんな大企業であっても、
 
衰退していき、
 
やがて
 
コダックやブロックバスタービデオのように
 
死に至ります。
 
 
   
 
明日は、
 
「現在のUXをデザイン思考で考えても無駄」
 
というテーマでお話しします。
 
 
 
 
お楽しみに!
 
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。

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