DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
昨日は、
「3Dプリンタ製造の課題」
というテーマでお話ししました。
デジタルデータを立体オブジェクトに変換する技術
3Dプリンティング(アディティブ・マニュファクチャリング=積層製造)。
家やクルマを1日もかからず
創れてしまう3Dプリンティングにも、
・強度と信頼性
・スピードが遅く大量生産に向かない
と、まだまだ課題はあります。
しかし、
ロケット開発に活用されていたり、
高い安全性・耐久性が
求められるモノへの利用も始まっていますし、
大量生産の技術も進化し続けていると
お伝えしました。
これらの課題がなくなった時、
いまの製造業はどのように変わっていくでしょうか?
さて、今日は、
「3Dプリンタで激変!?住宅建築」
というお話です。
3Dプリント住宅は、
既存住宅より安価かつ短期間で住宅を建築できます。
従って、
建設業界や不動産業界は
巨大な規模でディスラプトされる可能性があります。
どう住宅を創るかというと・・・
ミキサー車の先端にあるようなノズルが
セメントを出しているのを、
ロボットアームで移動させることで、
縄文土器のような縄状に壁を一段ずつ作っていきます。
3D-CADで設計したとおりに、ノズルを動かします。
壁の強度を増す方法もあります。
こんな
3Dプリンティング住宅のメリットは、
主に以下の4点です。
1 低コスト
2 建設期間が短い
3 デザイン上の制約が少ない
4 投下資金の回転率が理論上365倍以上
一つ一つ、みていきましょう。
1 低コスト
米国のICON社が開発した
3Dプリンタで、
NGO団体New Storyが建てた住宅は、
わずか6千米ドル!
最大180平米までの
建物の建築が可能だそうです。
2 建設期間が短い
このICONとNew Storyのチームは、
途上国において、
わずか8か月で100戸の住宅を建てたと
発表しました。
1棟建てるのにかかる期間は
24時間!
だそうです。
3 デザイン上の制約が少ない
プリンターなので、
従来の建築方法では
構築不可能だった形状の建物を
建てることもできます。
4 投下資金の回転率が理論上365倍以上
例えば、
家を建てれば、
すぐに
買手が付き、売れる
市場環境だとしましょう。
米国では、従来の建設方法では、
住宅を1戸建てるのに、
まる1年かかると言います。
住宅を1戸建てるおカネを用意して、
1年後に住宅が完成し、
翌日には住宅が売れるとしたら・・・
最初に用意した建築資金が
戻ってくるのは、
工事を始めてから1年後ということになります。
これが、
24時間で一戸完成可能な3Dプリンタの場合、
最初に用意した資金は
完成直後に売却されると、
24時間後には戻ってくることになりますね。
それを
2戸目の建築に回して、
↓
24時間後に売却して回収
↓
翌日にまた建てて、
↓
売却して回収
というのを繰り返すと・・・
理論上1年間で365戸の住宅を建てられることになります。
このとき用意した資金は、
なんと!
最初の建築費用だけです。
売却時には、
建築コストに利益が上乗せされているため、
それ以上の資本回転率になる
というワケです!
これからの時代、
3Dプリンティング住宅は、
建築基準法の厳しい日本を除いて、
多くの国で今後の住宅建築の主流になるでしょう。
事実、
2016年に
世界で最初の3Dプリンティングオフィスビルを
オープンさせたアラブ首長国連邦(UAE)は、
2025年には、
新たに建設する建物の25%が
3Dプリントの技術を使ったものになるとしています。
今日は、
3Dプリントによって、製造業がどう変わるか?
住宅建築業についてお伝えしました。
引続き、
他の業界も見てみましょう。
明日は、医療業界。
「拍動する3Dプリント心臓」
というテーマでお送りします。
お楽しみに!