ひとつで、すべてのAIが動く万能チップが誕生

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北京に拠点を置く研究者チームによって、 Tianjicと呼ばれる最強のチップが開発されたと話題だ。


あらゆる種類のAIソフトウェアをネイティブに実行でき、すべてを支配する可能性を持つハイブリッドチップだという。
根本的に異なるコーディングスキームが求められる2つの異なるAI、たとえば、機械学習と人工ニューラルネットワークのアーキテクチャアプローチを組み合わせることができるように設計されているのだ。

Tianjicの処理ユニットはスパイキング通信とバイナリの間で移行ができるため、幅広い計算をスムーズに実行できる。
研究開発チームはTianjicの汎用性を実証するために、Tianjic操作による自動運転自転車を構築し、話題を集めている。
障害物の検出と回避、バランスの維持、音声コマンド認識の実行に始まり、さまざまな道路状況においてナビゲーションを決定していく。車の自動運転はすでに技術開発が進んでいるが、自転車はより難しいと見られていただけに世界で大きな注目を浴びた。

それが将来、世の中にどのような影響を与えるのか

機械学習と人工ニューラルネットワークはAIという包括的な用語でひとくくりにされてしまうことが多いが、実はその実体は異なる。
Tianjicは機械学習と人工ニューラルネットワークといった異なるAIを融合させて、動かすことができるハイブリッド型のチップだ。従来はできなかった異なる種類の計算を可能とすることで、さまざまな分野のニーズに沿って発展することが期待される。


現代のAIはパターン認識や戦略ゲームなど、高度に特殊化された問題を人間に代わって考え、実行するシステムとなっており、学びながら能力を高めていく超インテリジェントという存在だ。現在の位置づけは人工狭域知能の1つにすぎない。
だが、Tianjicの導入により、個別のAIアーキテクチャを1つのチップに組み合わせることで計算問題からパターン分析、運動スキルなどを組み合わせた人工知能(AGI)のパイオニアになることが期待される。

 

なお、自転車の無人自律運転は一見簡単そうに思えるが、自動車や航空機の自動運転よりも自動運転の実現のハードルが高い、難関分野とされてきた。
スタートして加速、方向転換、ブレーキといったアクションを常にバランス維持しながら行うことは、実は非常に難しい。
高速道路を走行する自動車とは異なり、自転車は常に石ころやネコ、犬や人などの障害物を回避し続ける必要もあり、信号にも反応しなくてはならない。その国や地域ごとに異なる交通ルールの順守も自動運転走行と両立しなくてはならないのだ。1つでもバランスが崩れれば、自転車は瞬く間に転倒し、人命にかかわる大きな事故も招きかねない。
予測不可能な第三者の飛び出しや強風などでもバランスを崩しやすく、周囲の環境や車線変更などの事前予測の重要度は、自転車の方が自動車よりもはるかに問題なのだ。
複合的な判断を瞬間的かつ並行的に処理するために、脳型回路と機械学習を組み合わせたハイブリッド型のTianjicが役立つ。

Tianjicを無人自律自転車に組み込むことで、自転車は自らバランスを取りながら走行できるのはもちろんのこと、突発的な事象を予測しながら障害物を回避すると複合的な判断を行えるようになるという。
近年、自転車による死亡事故が増えている中、開発に期待したい。

参考:One chip to rule them all: It natively runs all types of AI software

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