離れた場所から触感を伝えることができるデバイス

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アメリカにあるノースウェスタン大学の研究チームが、触感を伝えてくれるシート状デバイスを開発したと発表した。
このシート状デバイスは、数マイル離れた場所から他のユーザーがタッチしてアクティブ化されると振動する仕組みとなっている。

このシート状デバイスを使用した実験では、母親がビデオチャットしながら息子の背中をリモート操作で、軽く叩くことができたとのこと。
母親が画面インターフェースに触れると、そのデータが息子の背中に取り付けられた触覚デバイスを介して通信する仕組みとなっており、母親と同じタッチパターンで刺激することができたのだ。

ノースウェスタン大学の研究チームが開発したこのような技術は、画期的である。
現在存在している触覚フィードバックデバイスは、そのほとんどがバッテリーに依存したタイプとなっており、肌にぴったりとフィットすることも難しく、さらにかさばる容器が必要という問題を抱えている。
それとは対照的に、ノースウェスタン大学の研究チームが開発した新しいパッチは、非接触型ICカードなどにも用いられている近距離無線通信が使われており、ワイヤレスで動かすことや給電することも可能となっているのだ。
しかも、厚さはわずか数ミリしかない。

皮膚と接触する外部シート部分は、シリコン層となっており、2つの内部層を保護しているのも特徴だ。
内部層の1つには、デバイスに電力を供給できる近距離通信技術が備わっている。
もう1つの内部層は、小型アクチュエータとなっており、さまざまなタッチ圧力をシミュレートすることができる。

物理化学者で材料科学者でもあるJohn A. Rogers氏が率いる研究チームは、このデバイスが商品化できるように、より柔軟性と軽量化を目指しているとのことだ。
現段階では、皮膚に対して垂直方向の圧力のみしか伝達できないが、将来的にはねじれ運動や温度変化さえもシミュレートできるようになるかもしれない。

このシート状のデバイスのように視聴覚インターフェース触感を伝えることが可能となったら、視聴覚インターフェースはよりリアルなものになっていくことだろう。

たとえば、皮膚の一部に張り付ける小さなパッチではなく、フルボディスーツに拡大させることができたら、ゲームの世界と現実の間のタッチインタラクションもリアルに変換できる可能性も秘めている。
振動だけでなく熱などの触感も伝えられるようになれば、デジタルシミュレーションもさらにリアルになるだろうし、本当の現実と同レベルの体験もできるようになるかもしれない。

VRやARデバイスを用いてインターネットに接続するだけで、世界中を旅している気分も体験できるようになるだろう。
視覚と音だけでなく、触感も同時に楽しめるようになったら、映画やテレビなどのエンターテインメントの表現もより迫力を増すだろうし、観ている側にとっても楽しいものとなるはずだ。

参考:New virtual reality interface enables “touch” across long distances.

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