地球環境の変化による食糧難を救済してくれるトマトの開発

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地球温暖化に伴う異常気象の影響で環境が変化し、食糧栽培や生産への懸念が示されている。
一方で今後も世界規模では人口増加が予想されており、将来の食糧難が大きな不安材料になり、いかに食糧を確保するかが課題になっている。
研究者たちは従来の栽培法や生産法ではない新しく画期的な方法で、食糧を生産し、食糧不足の危機を乗り越えられないかと躍起だ。

そんな中、都会の庭でも育てられる、遺伝子編集によって作成された宇宙空間に理想的な新しいトマトの研究が行われているというニュースが飛び込んできた。
都市空間でも育つように遺伝子組み換えされたトマトの新しいバッチは、現代の農業に革新的なパラダイムシフトをもたらしてくれるのではと期待されている。

コールドスプリングハーバー研究所のチームによって栽培されているトマトは、CRISPRを使用して改良されされたものだ。
従来より加速したペースで成熟することができ、果実がより密に詰まったトマトが生産できるという。
これらのトマトは大量栽培に適した階層型の農業用倉庫やこれまでは農業に適さなかった都市部において、改造された貯蔵ユニットで栽培することが可能だ。
そして、わずか40日以内に収穫することができるという。

従来の農業生産を大きく変革させるであろう偉業を成し遂げるために、生殖成長と植物サイズを制御する自己剪定(SP)およびSP5G遺伝子を改変したという。
これによって植物を開花させ、果実をより早く収穫できるようになるのだ。
茎の長さを制御するSIER遺伝子も、植物をできるだけコンパクトにするために修正された。
コンパクト化は、都市部の限られたスペースで栽培するのに役立てることができる。
この遺伝子編集の慎重なキュレーションを適用したことで、トマト本来の風味を維持しながら、最適な作物成長特性を得ることにつなげられた。

 

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によれば、5億人を超える人々が、森林伐採や気象や天候の変化、農業の過剰使用によってすでに劣化した土地に住んでいるという。
今回のトマトの栽培法が実用化できれば、食糧生産を土地から切り離すことが可能となる。

そのメリットの1つとして、土地の劣化や水源への肥料の流出など、従来の大量農業による環境への有害な影響が軽減される。
それと同時に、新しい方法で生産される農作物は都市居住者にはるかに新鮮で栄養価の高い食物を提供することができるようになる。
生産地と消費地が近接することで、輸送に伴う二酸化炭素の排出量も軽減され、環境保護にもより役立つようになるのも魅力だ。

経済的な観点からも遺伝子組み換え作物が優位であり、気候制御された条件で一年中、短期間での育成ができるようになり、多くの農作物を収穫することができるようになる。
天候の影響を受けないため、食品生産プロセスで前例のない制御が可能となるのだ。
新しく生み出される農作物の地球への影響を超え、NASAでもこの技術に関心を示しているという。

都市化されたトマトをはじめ、同様の方法で生み出される農作物が、まもなく私たちの都市はもちろん、世界規模、宇宙規模で活躍する未来がくるかもしれない。

参考:New Tomato Ideal for Urban Gardens and Even Outer Space Created Through Genetic Editing.

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