CRISPRの開発と実験成功で遺伝性疾患や難病治療が大きく進歩する期待

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概要

Vertex PharmaceuticalsとCRISPR Therapeuticsによる米国の医師らの研究グループが、CRISPRツールを使用した遺伝性疾患の患者治療を目指し、公的な記録として初めてとなる人間への適用試験をスタートさせた。


鎌状赤血球症の患者に対する効果的な治療法の開発を目指すもので、まず患者の骨髄から細胞を抽出する。
次にこれらの細胞をCRISPRで遺伝的に改変し、胎児ヘモグロビンの生成を行う。
これによって鎌型の血球を生じさせ、酸素輸送を妨げる欠陥タンパク質に対抗することを目指すものだ。
次に患者は標準的な骨髄移植の一部として、従来と同様の化学療法を受ける。
だが、このプロセスで欠陥を運ぶ細胞が一掃されると、患者は何十億もの自分のCRISPR編集された細胞を受け取ることができるのだ。これが従来のドナー提供による骨髄移植とは大きく異なる点だ。

 

それが将来、世の中にどのような影響を与えるのか

この研究とテストは2つの面で大きな革新的な期待と希望を持ち、注目されている。

1つは、CRISPRの人間の治療における有効性や安全性を検証する最初の正式なステップであることだ。
もう1つは鎌状赤血球症の長期治療に対して、将来的に大きな影響を与える可能性を秘めていることである。

Haydar Frangoul博士によれば、自分の型に合致するドナーを見つけることができない患者はもちろんのこと、すべての患者に対してCRISPRによる治療オプションを提供することを目指しているという。
患者自身の細胞を活用することにより、ドナーが見つからなくても、スムーズにCRISPRによる治療が可能となれば、より人命を助けることにつながり、遺伝性疾患患者やその家族たちに希望を与えることだろう。個別化医療の分野を拡大するだけでなく、人間の健康の定量化可能な拡張を図ると注目されている。

そもそもCRISPRとは、強力なDNA編集ツールとして開発され、低コストで容易かつ正確に遺伝子の削除や修復、置換などを可能にするツールである。
CRISPRは鎌状赤血球貧血から嚢胞性線維症、小児失明症、ガンに至るまで、現在難病とされて有効な治療法が確立されていない疾患において、最も有望な治療法といわれるものだ。
CRISPRによるゲノム編集技術は症状への対処にとどまらず、疾患の完治へと医療体系をシフトさせるだけの大きな進歩と革新を期待されるものである。

米国ではCRISPRを用いた初の臨床試験がスタートしており、使いやすさやコスト面での効率性、実際の効果や安全性、AIベースのヌクレアーゼ選択ツールの加発により、CRISPRによるイノベーションがさらに加速すると見込まれている。
CRISPRはあらゆる単一遺伝子疾患に対処できると見られており、CRISPRが実際の現場で活用できるようになれば、リリース当初の世界全体潜在市場規模の年間売上が750億ドルまで達するのではと予想されている。
難病治療の分野が大きく変わるかもしれないのだ。

参考:In A 1st, Doctors In U.S. Use CRISPR Tool To Treat Patient With Genetic Disorder

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