DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
さて、今日のお話は、
「企業の平均寿命は23.9歳」
というテーマです。
事業には、寿命があり、
会社の寿命が30年であるという説を
聞いたことがあるでしょうか?
これは、日経ビジネスが
1983年に主張したのが
始まりのようですが、
東京商工リサーチの調査によると
2018年に倒産した企業の平均寿命は
23.9歳と出ています。
Ichak Adizes氏は、
企業が倒産するまでに辿る成長・衰退過程には、
「コーポレート・ライフサイクル・モデル」
という概念があると、
彼の著書
「Corporate Lifecycles:
How and Why Corporations Grow and Die and What to Do About It」
の中で紹介しています。
「コーポレート・ライフサイクル」は、
人間のライフサイクルと同様な表現で
企業の創業期から終焉までの状態が解説されており、
そのサイクルには、大きく分けて、
以下の10の段階があるとされています。
① 恋愛中
② 乳幼児
③ 3歳~小学校低学年
④ ティーンエイジ(10代)
⑤ 最盛期(20代~ )
⑥ 安定期(40代)
⑦ 中年期(50代)
⑧ 高齢期(60代)
⑨ 要介護期(後期高齢者)
⑩ 死亡
自社が、どの状態にいるのかを知ることは、
DXを進めていく上で、良い指針になります。
では、①から⑤までを見ていきましょう。
①恋愛中
創業者が頭の中にあるビジョンやアイデアを夢見て、
昼夜、野心的なプランを考えることに
夢中になっている状態です。
創業者が腹をくくって、
リスクを取って具体的な行動を始めると、
次の段階に行きます。
もし、創業者が決断をせずに諦めてしまうと、
そこでビジネスの種が終了します。
②乳幼児
ビジネスが始まり、売上が立ち始めるものの、
まだプロセスも事務手続きもない状態です。
事業は不安定で、
まるで乳幼児のように目を離す暇がないため、
創業者は毎日寝る間もないくらい働いていて
プライベートはありません。
意思決定は、すべて問題が発生することがきっかけで、
毎日新しい問題が発生します。
キャッシュフローを繋げるために、
長期的な計画は後回しになりがちです。
この時期は、売上が続かずにキャッシュフローがマイナスになったり、
創業者に本気度が足りなかったりすると
すぐに死(乳児死亡)に至ります。
③3歳~小学校低学年
ビジネスはお金を生み出し続けるようになり、
急成長します。
この時、企業は、
楽観的かつ自信に満ち溢れるようになり、
処理能力を超えてしまいます。
にもかかわらず目に入ってくる機会には、
すべて飛びつき、
小さなプロジェクトがいくつも生まれます。
この段階で創業者が権限移譲を始めないと、
全員が創業者に意見を求めるようになり、
創業者がボトルネックになり、
成長が止まってしまうリスクがあります。
④ティーンエイジ(10代)
創業者はCOOを任命して、
会社経営を移行する時期です。
新しい組織図が必要です。
創業者が権限を委譲するのは簡単ではなく、
社内での衝突が生まれます。
なぜなら、
創業者や創業メンバーは
会社を自分達の人生と思っている一方で、
経営のプロは会社を、
これまでやっていた単なる仕事のひとつと
見なしているからです。
COOの最初の仕事は、
小学校低学年のときに始めた、
無数の小さなプロジェクトを
整理・統合していくことです。
したがって、戦略的な一貫性を求め、
進捗状況を測定する方法やプロセスを
導入するようになります。
これも既存の社員達を含めて、
不満と混乱を生み出す要因になります。
しかし、このような対立を解決できれば、
⑤最盛期(20代~ )に入ることができます。
一方で、
これらの対立を解決できない場合、
2つの事象のどちらかが起こるでしょう。
1 早期老化
創業者は事業を引退または売却することを
決定します。
管理好きの専門家であるCOOが引き継ぎ、
コストを削減することで、
一時的に利益が向上します。
しかし、アイデアを使い果たします。
創造的なエネルギーと創設者のビジョンがなければ、
会社は成長を止めて停滞します。
初期のApple社が、
CEOにスカリーを雇ったことにより、
創業者のジョブズが追い出された話は有名です。
2 満たされない起業家
雇ったCOOが会社を去り、会社は成長を止め、
創業者が当初思い描いていた世界観を
実現するところまで到達できません。
⑤最盛期(20代~ )
創業者とプロの経営陣が
共通の明確なビジョンで合意すると、
会社は勢いに乗った状態になります。
すべてが一体となって前進していきます。
俊敏かつ強力なプロセスのおかげで、
人数が増えても一貫した品質と成果がだせています。
プロセスを常に改善することで、
より多くのことを達成し、
より早く効率的にできるようになります。
最盛期の企業にとっての最大のリスクは、
自己満足と成功に満足してしまうことです。
明日は、
「改善や改革は不要!本当に必要なことは?」
というテーマでお話しします。
お楽しみに!
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。