今後急速に研究・開発が進んでいくAIと人間との関係

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概要

デューク大学とコロラド大学の研究者が、AI付のブログを開発した。

彼らは、もともとは株式会社クロスワープが企画・開発したemo(エモ)と呼ばれるブログツールを進化させた。そもそもemoはブログの文章から、書き手の性格を判断できるブログパーツだが、2つの大学の研究者によって新たに開発されたEmo Netは、ディープニューラルネットワークであり、画像を異なる感情カテゴリに分類できるようになったのが最大の特徴だ。
emoは書き手の文章から性格判断をしていたが、Emo Netなら表情の画像を11種類の感情的カテゴリに分類できるのである。その感情は、喜びや悲しみといった見た目ではっきりわかるものだけでなく、渇望と恐怖を区別することさえできるのだから、表情の画像から感情を判断するのにこれほど優れたツールはないといえる。

 

それが将来、世の中にどのような影響を与えるのか

Emo Netが今後どのような分野で活躍するかといえば、ヒトと関わりを持った人工知能(AI)の分野だろう。
今後、AIの知能を持つ見た目には人の形をした人形やロボットが多数作られ、さまざまな分野で活躍していくのは明らかだ。
今のところ、AIは人間の感情を流用することはできないが、Emo Netの開発の成功は、AIが人間の表情から感情を読み取るデータベースをすでに持っており、これを活用して行動できることを如実に物語っている。
つまり、表情から感情を読み取ったのち、最も適切と考えられる行動を取るのである。
こうした感情を読み取るAIの技術の進化は、臨床試験データの分析や科学調査の設計といった分野で人間の負担を大きく軽減することになっていく。


さらに、メンタルヘルス診断においては、人が人を診るときに語り口調や表情、身振り手振りといった動きから総合的に判断するのに対し、Emo Netは表情だけで感情を読み取ることができる。
人間の医師や心理カウンセラーは、十分に勉強し、知識と経験を積んできたとはいえ、時にはメンタル面に障害をきたした患者を相手にするにあたって、相手から影響を受けるのも事実だ。
自分自身に余裕がない場合などは、医師や心理カウンセラーといえどもイライラしてしまうのは避けられない。
その点、Emo Netなら表情の変化を見分け、的確に患者が抱えている感情を特定できるため、医師やカウンセラーのように患者から影響を受けることがない。
表情から読み取った感情が的確であるがゆえに、どこをどう治療すればいいかがわかりやすくなることから、メンタルヘルス関連で働く人たちにかかる精神的負担を大きく減らせると考えられる。


現在のメンタルヘルスにおいては、相手の感情と抱えている悩みを特定するのに、かなり長い時間を要しているのは事実だ。
うつを患う人の多くが自分自身でも特定できない不安を感じており、その原因がわからないことも多々あるからである。
Emo Netなら、当の本人でさえも気づいてない感情を、その表情から的確に突き止めることが可能だ。
重度のうつを患う人や言葉での意思の疎通が難しい人、さらには認知機能の衰えた人の感情ですら、相手からの影響をまったく受けることなく表情だけで判断できる。
そうなれば、メンタルヘルス分野における医療はもちろんのこと、介護関連で働く人たちの心理的、感情的な負担を大きく和らげられるだろう。

参考:AI Is Getting More In Touch With Your Emotions

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