出資と業務提携の先にあるもの

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DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
  
 
 
 
さて、今日のお話は、
 
「出資と業務提携の先にあるもの」
 
というテーマです。
   
   
 
 
自社の事業が将来的に生き残るために必要な、
 
また、理想的な未来を創り出すのに
 
最適なスタートアップの候補を見つける前に、
 
契約後のスタートアップとの関わり方について、
 
いくつかのシナリオを考えておきましょう。
 
 
 
 
まず、
 
一緒に未来を作り上げていくスタートアップは
 
1社に絞るべきか、
 
それとも複数社と並行して進めるべきかについて、
 
方針を明確にしておくと良いでしょう。
 
 
 
選んだスタートアップが、
 
非常に優秀で、すでにモノが出来上がっていて、
 
すぐに将来に向けた布石を打てる状態になっているとしたら、
 
その1社に絞り込んで良いかもしれません。
 
 
 
しかし、そうでない場合には、
 
複数のスタートアップと契約して、
 
競わせる方が良いと思います。
 
 
 
競わせる際は、
 
明示的に競わせるのか、
 
お互いの存在を分からないようにするのかも
 
考慮が必要です。
 
 
  
複数のスタートアップとの契約は、
 
余計なお金がかかるものの、
 
1社がうまく行かなかったときに、
 
2の矢、3の矢を用意しておく方が、
 
企業側としては
 
目的の達成をより確実にします。
 
 
 
また、かなり後の段階になって、
 
それらのスタートアップを統合させることも、
 
それぞれの良いところを
 
補完的に組み合わせて
 
自社の事業に取り入れることもできるなど、
 
多くの選択肢も生まれます。
 
 
 
 
次に、
 
そのスタートアップと一緒に事業を行うにあたり、
 
契約の仕方も複数選択肢があります。
 
  
・出資
・業務委託
・準委任
・ジョイントベンチャー
  
 
出資とは、文字通り、
 
スタートアップに資本を入れるということです。
 
 
 
業務委託は、
 
お金を支払ってソフトウェア開発を
 
してもらうことで、
 
 
準委任は、
 
お金を支払って何らかの作業を
 
担ってもらうことです。
 
 
 
ジョイントベンチャーは、
 
双方が資金または労働力を出し合って、
 
事業を進めていくことで、
 
事業からの成果を
 
あらかじめ決められた比率で
 
分配することです。
 
 
 
契約の仕方は、
 
選択肢は一つだけでなく、
 
複数の組み合わせで関わることもできます。
 
 
 
例えば、
 
はじめは5%ほどを出資しておき、
 
その上で準委任契約を結び
 
商品・サービスを開発してもらうか、
 
あるいは出資した上で
 
ジョイントベンチャーの契約を締結し、
 
先方に労働力を提供してもらうか、
 
といった組み合わせもあります。
 
 
 
スタートアップ側のキャッシュフローに
 
余裕があれば、
 
ジョイントベンチャーは良いかもしれません。
 
 
 
しかし、スタートアップは
 
成長に伴い資金がショートしがちなので、
 
現実的には
 
その資金を供給するために
 
業務委託や準委任契約を締結し、
 
輸血し続けることになるでしょう。
 
 
 
ここで舵取りが難しいのは、
 
彼らの人的リソースの多くを
 
自社のために割り当ててしまうと、
 
スタートアップの成長を阻害することに
 
なってしまい、
 
彼らのモチベーションが落としてしまう
 
可能性があることです。
  
  
 
また出資比率も、
 
初めからスタートアップが
 
大きな比率を望んだとしても、
 
希望通りに出資してしまうと、
 
彼らのモチベーションが
 
削がれる可能性があります。
  
 
 
なぜなら、
 
企業が50%以上保有してしまうと、
 
スタートアップの創業メンバー達が
 
成功したときに受け取る金額が
 
かなり小さくなってしまうため、
 
「馬車馬のように働く」というモチベーションが
 
減ってしまう恐れが出てきます。
 
 
 
仮に上場して時価総額が
 
1000億円になったと仮定すると、
 
創業メンバーが60%保有していれば
 
600億円を手にすることに対して、
 
企業側が50%を保有するとします。
 
 
  
IPOのタイミングで
 
市場で25%売却し資金調達すると、
 
創業メンバーが手にする金額は
 
その半分の250億円になってしまいます。
 
 
 
さらには、
 
株主総会などで親会社の思惑が
 
大きく経営に影響することが、
 
創業メンバー達のモチベーションを
 
大いに下げることも考慮するべきです。
 
 
 
親会社ではその気は無くても、
 
創業メンバー達がそれを想像しただけで、
 
モチベーションは大きく下がります。
 
 
 
資本を入れるのは、
 
当初は5%以下で、
 
徐々に上げていき、
 
最終的に
 
20%~33%に留めて置くのが、
 
お互いのバランスを保つためには
 
良いと思います。
 
 
 
明日は、
 
「最終局面!バイアウトか上場か?」
 
というテーマでお話しします。
 
 
 
 
お楽しみに!
 
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。

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