DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
さて、今日のお話しは、
「新規事業の予算はこう決めろ」
というテーマです。
新規事業を開発する上では、
独立した事業組織にすることが
有効なのは昨日お話しした通りです。
しかし、どんな企業でも
新規事業を立ち上げる上で
必ず問題になるのが予算でしょう。
ムーア氏によると、
通常の企業で組織ごとに許可される予算
(経費として費やして良い金額)で
活動するのではなく、
VCのファンドと似たようなファンドから、
資金を調達して、
その範囲で活動することが有効です。
そして、資金は、
毎年決まった予算が貰えるわけではなく、
スタートアップの多くが辿る
マイルストーンによって、金額が決まります。
マイルストーンと各段階のミッションは、
一般に次のようなものです。
・ シード:
テクノロジーの開発、
PoC(コンセプトの検証)の開発からMVP
(ミニマム・ヴィアブル・プロダクト:
コンセプトを体感できる最小限の
スペックの製品)の開発と、
最初の顧客層(イノベーター層)獲得を目指す。
・ シリーズA:
事業が本格的に動き始め、
商品・リリースの認知が進み、
顧客が増え始める成長ステージ。
・ シリーズB:
ビジネスを拡大し、
顧客数でキャズムを超えることを目指す。
そのために、
品質に揺らぎがないようにプロセスを確立し、
品質を強化し、サポートの体制を強化する。
・ シリーズC:
黒字経営が安定化した段階。
IPOやM&Aを意識する。
まず、チームは企画書を作って、
その企画でテクノロジーを開発したり、
MVPを開発したりするための資金を、
インキュベーション・ファンドに申請し、
プレゼンをします。
インキュベーション・ファンドの審査をするのは、
既存事業のCEOはじめ役員達です。
資金が底をつくまでに
目的が達成できなければ、
そこで終わりで失敗とみなされます。
シード・ラウンドの中で
資金が底をつく前に、
MVPがイノベーター層の顧客に受け入れられ、
無事に死の谷を乗り越えられたら、
次のシリーズAラウンドで、
もう少し大きな金額の資金を集めます。
シリーズAをクリアしたら、
シリーズBのプレゼンして予算を獲得。
Bをクリアしたら、
シリーズCのプレゼンをして、
再び予算を獲得すると言う形で進めていきます。
このように、
初めから決まった予算を与えるのではなく、
新規事業を担う独立した組織のプランを
経営陣が確認しつつ必要な予算と達成目標を
クリアしていく方法であれば効率的に
新規事業を立ち上げることができるでしょう。
明日は、
「新規プロジェクトの典型的な成長プロセス」
というテーマでお話しします。
お楽しみに!
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。