AppleがAR・VR機器の開発計画を発表:開発競争激化へ

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米国Apple社は、今後4年間にARおよびVR機器を次々と実現していくというプランを発表した。

来年には、早速iPad Proに3Dセンサーを搭載し、部屋や人々、物体を三次元的に認識できるようにするという。それに続き、2020年の終わりごろには、iPhoneにも、既存のFace ID技術を元に作成された、同様のセンサーを搭載することを予定している。その後の2年間では、会議や娯楽やゲームなどに使用できる、AR/VR専用のヘッドセットを公開することを計画中である。
そして2023年までには、日常的に使用可能な、軽量のアップルグラスが消費者に向けて発売される予定になっている。

アップルのARおよびVR機器の公開予定日は、多くの予想よりも遅いものだった。
しかし、アップルでは現在約1,000人のAR・VRエンジニアが、完全にうまく機能するAR・VR機器の開発に向けて進んでいる。
その結果は、iPhoneの売り上げ減少を補うべく、ウェアラブル部門を中心とした今後のアップルの重点的製品として現れてくることであろう。

 

iPhone革命に次ぐ技術革新として、Apple Watchなどに代表されるウェアラブル機器の開発を進めてきたアップルとしては、AR・VRに対応したグラスによってさらにウェアラブル革命を推し進めるつもりだと考えられる。

将来的には、ARグラスを通じて、スマホ画面をのぞき込むことなく新しい街の情報や歴史を確認したり、ニュースを閲覧したり、親しい人と連絡を取ったりすることもできるであろう。
ARによって現実の物理的環境は、すべて学びや遊び、そして新たな働き方の機会をもたらすものへと変貌するのである。

Appleが本格的なAR実用化プランを表明した以上、iPhoneの開発の際にAndroidを投入して対峙することとなったGoogleやAIスピーカーなどの最先端製品の開発に力を入れてきたAmazonなども黙ってはいないだろう。

一社の開発計画の公表によって、シリコンバレーの巨大IT企業がこぞって開発競争に乗り出すことも考えられる。
中でもGoogleは、すでに一度販売したGoogleグラスで苦い失敗を味わっているため、今度こそ失敗しないために本腰を入れてくるであろう。

また、スマートフォンに関してAppleやGoogleに比べて出遅れたMicrosoftも、市場がAR・VRへと移行するにあたっては、復活を目論み競争に参画する可能性がある。
すでにX boxシリーズ用に体の動きなどを検知して反応するKinectやヘッドマウント型のARコンピューターであるHoloLensシリーズを開発しているため、その先行者優位を活かして、まだまだ覇者になる可能性を秘めており、今後の展開から目が離せない。

また、中国系の新興企業などが関連技術の開発に乗り出せば、シリコンバレー中心の勢力図自体が変わってくる可能性もあろう。
最終的にどの企業が覇権を取るにせよ、このように、ARやVRを取り入れた機器の開発競争は、すでに始まっているのである。
今回のアップルの発表は、そのことを決定付けるものだったといっていいであろう。

参考:Apple plans standalone AR and VR gaming headset by 2022 and glasses later.

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