遠距離でも治療を可能とする遠隔心臓手術がロボットで実現する!?

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心臓専門医のDr. Tejas Patel氏は遠距離にいる患者に対し、遠隔心臓手術に成功したと発表した。
Dr. Tejas Patel氏が、手術を受ける患者から20マイル離れた場所で手術を行うという試みだ。

精密な血管ロボットを介し、5つの経皮的冠動脈インターベンション処置(PCI)を行うことに成功したという。
このロボットは血管ロボット会社のCorindusがドクターの意向を受け、現在はFDAに認可されたCorPath GRXロボットを改良したのだ。

CorPath Systemは有線インターネットで接続され、血管および冠状動脈の手順を極めて正確に行うことに成功した。
Dr. Tejas Patel氏はジョイスティックとビデオモニターを使い、十分に直感的にロボットを操作できることが証明されたのだ。
まさに遠隔医療におけるクーデター的に衝撃の出来事である。


ランセットのスピンオフEClinicalMedicineで発表されたばかりではあるが、Corindusの遠隔心臓手術の成果は既にアメリカで何度か再現されており、その実現性と有効性を高めている。

 

 

名医を求めて転院を繰り返したり、難しい手術を受けるために海を渡ったりする人も多い中、ロボットを介して遠隔からの長距離心臓手術が可能となるとすれば、それは大変な革新なのではないだろうか。

特に心臓に疾患を抱えている患者は、長距離の移動は心臓への負担がかかる。
助かりたいと手術を受けに行くことさえハイリスクであるため、もし、その場にとどまって、カリスマ医師が遠隔からロボットで手術をしてくれるなら、手術の成功以前に手術を受けに行くリスクをショートカットできる。

遅延を最小限に抑える高速ネットワーク、複合現実、高精度ロボティクス、高度なセンサーが融合していけば、遠隔医療における最大の弱点である距離の問題を解決し患者の命を救うことを可能にしてくれる。
世界最高レベルの医師たちのもとへ、重症患者がわざわざリスクを冒してまで尋ねていく必要もない。
医師もいつもの環境に身をおきながら、世界各地の患者やその家族の期待に応えることが可能となる。

高度な医療を受けるために医師のもとへと行くには、莫大な費用や労力、時間も必要だ。
だが、遠隔手術ができれば、費用も抑えられ、体調が思わしくなく転院や海外渡航を断念せざるを得ないリスクも減らせる。
よりスピーディーに、最悪な状況になる前に手術を受け、助かる道を切り開くことができるだろう。
ロボットと仮想インターフェースを駆使した遠隔地での長距離手術ができるようになれば、医療の分散化、非局在化、民主化にも貢献するに違いない。
CorindusのCEOであるMark Toland氏は「この研究の成功が世界中の大規模な長距離遠隔ロボットプラットフォームへの道を切り開いた。」と述べている。
医療ドラマの夢物語が、現実化するときが近づいているのだ。

 

参考:First long-distance heart surgery performed via robot.

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