なぜ、新規事業には“共感”が不可欠なのか

Blog

DXTコンサルティングの
兼安 暁(かねやす・さとる)です。
 
 
 
 
さて、今日のお話しは、
 
「なぜ、新規事業には“共感”が不可欠なのか」
 
というテーマです。
 
 
 
引き続き、デザイン思考の
  
5つのステップについてお話ししていきます。
 
 
1 Empathize(共感・理解)
2 Define(定義・明確化)
3 Ideate(アイデア開発・創造)
4 Prototype
5 Test
 
 
 
今回は、
 
Empathize(共感・理解)がテーマです。
 
 
【1 Empathize(共感・理解)】
  
質問・課題を設定したら、
 
次はその恩恵を受ける顧客を設定します。
 
 
 
そして、
 
その想定顧客のところに行き、
 
注意深く観察してください。
 
 
 
これは、
 
従来のフォーカスグループを
 
使ったインタビューやデータから
 
推測するのとは違うアプローチです。
 
 
 
ただ、顧客の声を聞くのではなく、
 
メンバーが顧客の身になって考えます。
 
 
 
そのためには、
 
顧客と同じ体験をする必要が
 
あるかもしれません。
 
 
 
顧客と同じ経験を共有することで、
 
共感や理解が生まれるのです。
 
 
 
例えば、次のようなケースがあります。
 
 
 
自閉症とアスペルガー症候群の成人を
 
助ける英国の慈善団体、
 
キングウッドトラストの事例です。
 
 
 
メンバーの一人が、
 
自閉症で言葉を話さない患者の家に行って、
 
彼を観察したときに2つの行動に目を留めました。
 
 
 
1つは革のソファーを摘まむこと、
 
もう1つは壁の凹みをこすることです。
  
 
 
当初メンバーは、それらの行動を
 
ソファーや壁を破壊する行動だと
 
考えました。
 
 
 
しかし、2回目に訪問した時に
 
違う可能性に気がついたと言います。
 
 
 
ソファーをつまんでいるのは、
 
革の感触を楽しんでいるのかもしれないと
 
考えたのです。
 
 
 
次にメンバーは、
 
自閉症の患者と同じように
 
壁に耳をつけてみると上の階からの
 
音楽の振動によって耳にわずかな
 
くすぐりを感じました。
 
 
 
その状態で、壁のくぼみを
 
こすると心地が良かったのです。
 
 
 
この体験を経て、
 
メンバーはこの自閉症の患者を
 
より深く理解しただけではなく、
 
健常者がいかに彼らを偏見で見ていたか?
 
ということに気がつきました。
 
 
 
その後、このメンバーは、
 
彼らが日々豊かで楽しい生活を送るために、
 
生活空間、庭園をどう設計したらよいか
 
という質問を設定したのです。
 
 
 
 
デザイン思考を用いた
 
新規事業開発のプロセスでは、
 
こうした共感・理解のプロセスを
 
メンバーそれぞれが行います。
 
 
 
そして、そこで得られた
 
顧客に対する理解は
 
それぞれ異なるため、
 
全員が他のメンバーに感じたことを
 
共有するプロセスが必要になります。
 
 
 
顧客の言葉だけでなく、
 
共感や深い理解を元に新規事業を
 
開発できれば当然ながら、
 
今までとは違うプロダクトが生まれる
 
ことになるでしょう。
 
 
 
 
 明日は、
 
「画期的なアイデアを生み出す発見のプロセスとは」
 
というテーマでお話しします。
 
 
 
 
お楽しみに!
 
DXTコンサルティング
兼安暁(かねやす・さとる)でした。

タイトルとURLをコピーしました