宇宙飛行士が初のセメント作りに成功したその先は

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ISS(国際宇宙ステーション)に搭乗している宇宙飛行士たちが、宇宙で利用できるセメント作りに取り組んでいる。
地球から持って行ったセメントを使っての取り組みは、地球からのセメントをどの程度うまく調合するかによって、宇宙におけるインフラストラクチャーで、セメントがどのくらい使用できるかという潜在的な使用可能な能力を測るのに役立つからだ。

現在進行しているのは、セメントを固める際の微小重力調査で、この研究は微小重力のセメントがどのような微小構造をもたらすかを知るための、世界初の試みである。
実際に調査を行った結果、地球で処理をしたセメントサンプルとはいくつか顕著な違いが見られた。
たとえば、研究者たちの宇宙船セメントはより多孔質だったといった具合だ。

今後は、低重力環境下においてすでに分かっている材料の微細構造が、コンクリートの強度にどの程度影響するかを研究することになる。

 

この発見の重要名ポイントは、いずれ人間は、地球以外の場所に居住惑星を見つけることになるだろうと考えている点だ。

コンクリートという素材は、宇宙でコロニーを作る際のインフラストラクチャーの中で最良の候補となっているために、過酷な環境下でも建造物が作れると考えられる。
現在分かっている限りでは、火星人や月という星で歩く人たちは強力な放射線や高い熱から守る必要がある。
この高熱や高い放射線量からも人間を十分に守る力を持つのがセメントで、非常に強いビルディングを作る材料となりうるのだ。
さらにセメントはコストパフォーマンスに優れているうえに、柔軟性にも富んでいるとあって、宇宙の星々でも使い勝手がよくなると考えられている。

問題は地球からセメントを配合して持って行くために、火星や月といった人が住めそうな環境の星において、セメントがどのように適していくかだろう。
いずれは火星の岩や埃、月からレゴリスと呼ばれる月の塵を用いて、その場所から建築資材を調達できるようにすることが理想だ。

微小重力下でセメントを用いたコンクリート生産が成功したことによって、過酷な条件の惑星でも、人々が頑丈なシェルターを建設できる可能性は高いだろう。
さらに将来的には、手がつけられることなくそっくりそのままの状態になっている惑星の材料を使うことで、より低コストでありながらその惑星になじみやすく、頑丈なシェルターを建設できるようになるかもしれないことだ。
過酷な条件でありながらも、安心して暮らしたり仕事ができたりするシェルターを作ることができれば、いつかは人間が地球以外の惑星で暮らすことができるかもしれない。

新しい環境下での資源を使うことで、地球のように生態系を壊してしまうのは避けなければならないが、新しい居住惑星ができることで壊れてしまった地球を元通りにできる可能性も捨てきれないだろう。
何より地球以外の惑星で生きられるかもしれないという可能性を高めたという点で、スペースファンタジーを感じる人々にとってはこの上ない魅力になる。
映画で見たことが現実になる日は、もうそこまで来ているのかもしれない。

参考:Astronauts make cement in space for the first time.

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