地球を望遠鏡に!?奇想天外なテラスコープ構想とは?

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コロンビア大学の天文学者、デイビッド・キッピング助教授は、地球の大気を巨大レンズとして使用する「テラスコープ(惑星望遠鏡)」が実現する可能性を示した。

地球上の望遠鏡ではるか遠くの宇宙まで観測するには、レンズの口径を大きくする必要がある。
大きければ大きいほどはるか彼方まで見通せるようになるが、そのためには巨大望遠鏡設備を建設する必要があり、莫大な費用がかかる。
そこでキッピング助教授が考えたのが、地球の大気による光の屈折現象を利用し、地球そのものを巨大な望遠鏡として使用するプランだ。
実現すれば、直径150メートルの地上望遠鏡に匹敵する集光力を備えた、地球サイズの望遠鏡「テラスコープ」が完成する。

現在地球上で建設が計画されている巨大望遠鏡は、チリのアタカマ砂漠の「巨大マゼラン望遠鏡」、ハワイのマウナケア山頂の「30メートル望遠鏡」がある。それぞれ建設費は約10億ドルから20億ドルのコストがかかる見込みだが、テラスコープ構想ならこれら天体観測システムよりはるかにリーズナブルに建設できる。
これが宇宙望遠鏡となるとコストはさらに高くなり、2021年に「ハッブル宇宙望遠鏡」の後継機となる予定の「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡」には、すでに100億ドル以上の費用がかかっている。主鏡口径6.5メートルのこの巨大望遠鏡は打ち上げスケジュールが度々延期されているが、天文学界ではこうしたコストをなんとか低く抑えた革新的な宇宙観測方法を切望している状況だ。

そんな中キッピング助教授がひらめいたのは、地球の大気を使って光を集め、焦点に宇宙望遠鏡を配置するというテラスコープのアイデアだ。この方法なら、これまでとは比較にならないほど低いコストで有効口径150メートルという地上望遠鏡の集光力を得ることができる。
撮れるのはスナップ写真だが、それがはるか彼方の宇宙の光景だとすれば、その価値は計り知れない。

光が大気を通過する際に屈折することは周知の通りだが、キッピング助教授は論文の中でこの効果を惑星規模で活用するという画期的なアイデアを提案している。
キッピング助教授が発表した論文の概要はこうだ。
観測点は宇宙船で、観測対象との間に地球を挟む形で地球から150万キロメートル離れた場所に配置する。
対象惑星の光が地球の大気を通過する際、光は地球の周りを回り、反対側からビームとなって収束し宇宙船の鏡に向けられるというものだ。

この方法では、既存の望遠鏡では観測が不可能な対象からも、より多くの光を収集し、観察が可能となる。
天体そのものを浮き彫りにするほか、宇宙物体の大気中で水の存在を示す「雲」の観測や系外惑星の詳細を観測できる期待があるという。
助教授曰く、「観測者が地球と月の距離、もしくはそれを超える程度の距離にいれば、地球を屈折レンズとして活用できる」ということだ。

技術的な課題はまだ多く残されているが、実現すれば、地球という惑星そのものを活用した、並外れた機能を持つ巨大望遠鏡を人類は手にすることになる。
同機能を得るには少なくとも100メートルの地上レンズを必要とし、建設費用は350億ドルは下らないとも予想されている。

参考:Astronomer David Kipping’s proposed “terrascope” (a planetary telescope) would use Earth’s atmosphere as a giant lens.

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