言葉に対する脳の反応が言語のコミュニケーションを変えるかもしれない発見

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UC Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)の研究者は、脳が言葉に対してどのように反応しているのかを示す3Dマップを作成した。

この研究のためにチームは9人のボランティアに参加してもらい、その脳の活動を主に血流データに対して観測を行った。
ポッドキャストから一度に1語ずつストーリーを読んだ後に同じ文章を聞くことで、さまざまな言葉がボランティアの脳の異なる領域にどのような活動を引き起こすかを明らかにしてデータを作成したのである。

この観測から得られたデータは自然言語処理を使用し、相互関係に基づき数千の単語をマッピングするコンピュータープログラムに送られた。その結果、最終的には夫や父、娘といったさまざまな社会用語が、実際に読んだり聞いたりしているかには関係なく、脳内の異なる身体領域と相関することを発見したのだ。

 

この研究結果における重要性とは、神経科学における新たな発展につながる可能性を秘めている点だ。
神経科学の領域において新しい発見は常に、脳の増強と脳の治療という異なる方面で不可欠なのである。
脳の増強という観点からいえば、脳活動はさまざまな領域に及ぶが、中でも物理的領域をマッピングする能力は、脳とコンピューターにおけるインターフェイス技術の開発促進に大きく貢献すると考えられる。
脳の治療という観点からは、孤立してしまった脳の活動を治療できる可能性を秘めているだろう。

言語によってコミュニケーションを行う人間にとって、あるいは集団にとって、言語障害は著しくコミュニケーション能力を損なってしまう。
さらに、読書障害によって、書物から得られる知識を習得できないことでコミュニケーション能力が伸びないことも多い。
こうした読書障害および言語障害を持つ患者にとって、実際に読む、あるいは聞くという行為とは関係なく、脳内の活動が異なる身体領域に相関するならば、これまでは考えることもできなかった新しい治療方法を生み出せる可能性があるといえよう。

前例のない新しい治療方法の確立には、これまでとはまったく違った角度でこれらの障害を捉え、どのようにアプローチしていくべきかを考える必要があるだろう。
それは、科学や医療という分野において、もしかすると突拍子もない考えや発想を必要とするかもしれない。
しかしながらこの脳と身体領域との相関が、実際に見たり聞いたりといったこととは無関係に行われているという発見自体、これまでの脳および神経科学において当然とされてきた考えを根底から覆すものである以上、突拍子もない考えの方がむしろしっくりくる可能性すらある。

今まで正しいと考えられてきたことがひっくり返ったわけなのだから、そこにこれまでなら思いもしなかった考えを当てはめてみることで、画期的な治療法につながるかもしれない。
孤立してしまった脳のせいで聞く、読むといった言語でのコミュニケーション能力が低下すると、体にも不自由さが現れることがしばしばあるが、聞かなくても読まなくても相関する脳内の身体領域に踏み込むことで、大幅に改善できるだろう。
単にアプローチ方法がわからなかっただけなのだから、不可能ではないはずだ。

参考:Researchers’ 3D map of the brain’s response to words could be vital for next-gen language decoders.

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