体組成に重要な役割を担うタンパク質の形状測定が簡単に

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イェールの化学者・Zhe Meiが率いる研究チームが、タンパク質の構造を研究する科学者の能力を大幅に向上させた。
タンパク質の形状の測定を、数学を用いて簡単にしたのである。
通常、タンパク質の分析には結晶化させてX線結晶解析での分析か、液体溶液に詰めて核磁気共鳴、通称NMRで分析する。

どちらの方法も難点は、すべてのタンパク質に対して正確さにおいて一貫性がなく、常に結果が異なるところだ。
メイの研究チームは、なぜこうした一貫性のない結果が出るのかに目をとどめ、その理由を理解するところから研究を始めたのである。

さまざまな温度でX線結晶構造タンパク質のデータベースを構築したのち、核磁気共鳴のソリューションで個体結晶、またはバンドルを形成するタンパク質のパッキング方法における数学モデルを構築した。
この成功によって、充填密度が2つの測定技術の間に存在するタンパク質構造の違いを説明できることを発見、さらに温度が構造にもたらす影響についても研究できたのである。

 

この発見と研究の重要性は、ヒトの体を組成するタンパク質の重要性と緊密に連動している。
タンパク質はヒトの体において、臓器組織からホルモンの調節に至るすべてにかかわってくる重要な構成要素だ。
タンパク質なしには、ヒトは生物学的機構を維持することができない。
そんな重要な構成要素でありながら、タンパク質構造の予測と可視化は、科学の進歩をもってしても克服できない課題となっていた。
科学者に対し、複雑なアルゴリズムの開発だけでなく、クラウドソーシングプラットフォームの立ち上げすら促していたほどだ。

大掛かりな開発を必要とするとあって、克服は困難と思われたタンパク質構造の解明は、意外にも科学者ではなく化学者においてなされた。
この数学的モデリングによって、異なる測定方法とイメージング手法の違いを調整できるのである。
さらに生化学的観点からいえば、研究方法を改善して生物学と外部変数の未知の関係を明らかにすることにもつながる。

どちらの「化学」においてもメリットをもたらしたこの研究結果は、今後タンパク質構造を明らかにしていくだろう。
タンパク質構造が今よりもはるかに簡単に明らかに解明できるようになれば、医療の分野において新しい治療方法を生み出すことになるのは明らかだ。

さらには、タンパク質構造がより簡単にわかるようになったことで、タンパク質を含む食べ物の育て方にも変化が出るかもしれない。
食べ物の分野において研究結果が活かされれば、将来的には地球からとれる食物が減り、人類は昆虫を食べざるを得なくなるだろうという、いささか悲観的な観測を覆すことにもつながる可能性がある。
効率よく良質のタンパク質を含む食品を育てることができれば、食糧問題の解決にもつながりそうだ。
昆虫を食べなければならない事態に陥る前に、世界中の化学者と科学者が手を取り合って、地球上のすべての人にいきわたり、長期的なスパンで安定した食料の提供につながることが望ましい。

研究をするには大掛かりな装置や場所が必要だが、数学でのアプローチなら世界中に存在する優れた科学者が研究できるという点も、極めて画期的だ。

参考:Measuring the shape of proteins just got easier thanks to mathematics.

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