ヴェオリアがサンシャイン・コースト大学でエネルギー40%削減を実現

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水・エネルギー・廃棄物の専門分野で160年の実績を持つヴェオリア(Veolia)は、オーストラリアのサンシャイン・コースト大学において「水バッテリー」によるエネルギー40%削減を実現した。
比較的低コストでクリーンな再生可能エネルギーにより、継続可能な成果を上げたことは大きな実績といえるだろう。

現在世界各国がCO2削減に向けて動いていることは周知の事実だ。
ところがサンシャイン・コースト大学のあるオーストラリアは、2018年にはCO2排出量が4年連続増加となり、政府が国を挙あげて抜本的な改革に取り組んでいる。
オーストラリアのクイーンズランド州やニューサウスウェールズ州政府の発表によると原因は森林伐採が急激に進んだことと見られ、CO2排出量は年々増加傾向にある。
これは在来植物を保護する規制が緩和されたことに大きな要因があるとして、環境グループらはオーストラリア連邦政府の規制緩和方針に対して異を唱えているのも事実だ。

オーストラリア連邦政府はパリ協定に基づき、2025年までにカーボンニュートラルに移行し、30年までに年間CO2排出量を05年の水準から26~28%削減する目標を掲げている。
先に触れたサンシャイン・コースト大学はクイーンズランド州にあり、エネルギー・システムの抜本的な転換の先駆けとなるべく、民間企業のヴェオリアと組んでプロジェクトを進行させた形だ。

2019年9月に大学が稼働をスタートさせたのは、「水バッテリー」と「太陽光発電」というクリーン・エネルギーを利用したシステムである。
同大学のヒル教授はシステムの導入に際し、「エアコンのエネルギー使用量を削減することによって、我々はカーボンニュートラルを実現する措置を講じた」と述べている。

具体的な方法は、キャンパスの屋根と駐車場の裏地に設置された6,000個のソーラーパネルで2.1メガワットのエネルギーを生み出し、その電力でタンク内の水を冷やしてエアコンに使用するというものだ。
水タンクは3階建てのビルに相当し、タンク内の水量は4.5メガリットルにも及ぶ。
同時にこの水は水バッテリーにも使用され、ヴェオリアの発表によるとすでにシステムは42%のカーボン・フットプリントを減らす成果を得たという。

 

同大学のスコット・スナイダーUSC最高経営執行者博士は「これから先、四半世紀にわたり、大学の光熱費を約6,900万米ドル節約する」と見積もる。
同時にエネルギー問題の解決に向け、多くの学生を革新的な未来に導くことができると自信を見せた。

それまで大学が日中使用するエアコンのエネルギーは、実にキャンパス全体のエネルギーコストの5分の2をも占めていた。
太陽エネルギーというクリーンで低コストのエネルギーに切り替えることで、大学の経営にも明るい未来となるだろう。
そしてそれと同じことが、世界中のあらゆる大学・企業・あるいは一般住宅にも近い将来起こり得るのだ。

今回大学が実施した水バッテリープロジェクトは、国際的な称賛を獲得した。
水という普遍的な存在を再生可能エネルギーの生成と貯蔵によってエネルギー源へと変える、そのシステムは世界各国をカーボンニュートラルな未来に近づける手段となり得るだろう。

参考:Three-story water battery cuts university’s energy usage by 40 percent.

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