アト秒の電子運動をX線レーザーで測定する方法の開発

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スタンフォード大学とSLACの共同研究チームは、X線レーザーでアト秒の電子運動を測定する方法を発明したと発表した。
1アト秒は100京分の1秒という、人間には極めて計測が困難な時間単位である。
だが、電子の動きを計測するうえでは欠かせない単位でもあるのだ。

共同研究チームによれば、280アト秒という計り知れないタイムスケールで電子を測定する方法の開発に成功したという。
1秒は約317.1億年に匹敵し、宇宙の年齢よりも長い単位となる。
アト秒計測を達成するために、研究チームでは高速で移動する電子バーストによって生成されたX線バーストを含む手順を構築したというのだ。
より小さなタイムスケールで測定するためには、科学者たちは、より短くて、より強いバーストを作成する必要があった。

今回開発されたバーストは、磁石を通過するときに必要な強力で高速なX線を作り出すことができる。
スタンフォード大学の研究チームによれば、約14年前に最初に提案されたXLEAPと呼ばれる技術を応用し、より高性能なビームを開発できたというのだ。

 

一般人にとっては非常に想像の難しい世界の話であるが、超高速科学の世界においては、電子の動きを解明するために非常に大きな後押しとなる画期的な技術の開発といえる。

SLACとスタンフォード大学の共同研究所によれば、これまでの技術では原子核の動きは正確に観察できるレベルに達していたものの、実際に化学反応を駆動するはるかに速い電子の動きはぼやけてしまい、正確な観察ができなかったという。
基礎科学の分野においては、原子や分子の動きなどの超高速現象を観測する目的で、一瞬だけ光るパルスレーザー光源の開発が続けられてきた。
カメラのストロボのようにパルスレーザーを使うことで、高速で動く対象物の詳細な観察が可能となるのだ。

近年では、究極の高速運動とされる、原子内で動き回る電子の動きの観察を目指し、アト秒パルス光源の開発に世界各国の研究チームが取り組んでいた。
多くの研究者たちが、アト秒パルスの時間幅を縮める競争にしのぎを削ってきたのだ。だが、これまでに開発されたアト秒パルスレーザーの出力がとても低く、多方面に利用することが困難な状況が続いていたのである。

SLACとスタンフォード大学の共同研究による新たなアプローチは、大きな進歩をもたらした。
この進歩により、X線レーザーを活用することで、電子がどのように動き回るのかはもとより、後続の化学のステージをどのように設定するかまで確認できるようになるのだ。
無限の規模で観測できるようになったことを意味しており、特に光合成と生化学における、世界で最も根本的な謎のいくつかをすぐに調査できる可能性が見えてきた。

この開発は超高速科学のフロンティアを押し上げるであろう。
これまで解明ができなかった謎を解き明かし、科学技術分野での大きな発展と成長を加速させていくキッカケを作り出すもといえるのだ。

参考:SLAC scientists invent a way to see attosecond electron motions with an X-ray laser.

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