地球と宇宙を結ぶエレベーターができる!?

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SF作品が好きな方にとっては憧れの存在であろうスペースエレベーターは、40階建ての高層ビルを短時間で昇降するエレベーターのように、地球と宇宙を瞬時につなぐ夢のようなアイテムだ。
打ち上げに失敗すれば、人間もろとも空の藻屑と化すロケットとは異なり、地上からエレベーターに乗るだけで宇宙空間まで連れて行ってくれる夢のエレベーターである。
そんな子供の夢物語のような開発が、実は世界で取り組まれている。

1960年代のスペースレース以来、夢のまた夢と見られていたスペースエレベーターに1990年代後半から世界各国が注目をはじめ、今では、毎年アメリカや日本でワークショップが開かれ、実現に向けて研究・開発が進められている状況なのだ。
コロンビア大学とケンブリッジ大学の研究者が新たに発表された論文によれば、月面から静止軌道(地上約36,000キロメートル)まで走ることができるスペースラインを開発中だという。
既知の材料で作られた有望なケーブル設計であり、ロケットがスペースラインの終点に到達してエレベーターにドッキングすると、月面に引っ張るだけで済み、現在より簡単な手段で地球と月の間を移動できるというのだ。

 

ロケットの開発には重量1トンあたり1,000万〜2,000万米ドルのコストがかかり、危険も伴うため、地球の大気圏から出る別の方法を見つけることが課題となっている。
現在少しずつ進められている宇宙旅行と惑星外発見の民主化と実現を目指すためには、スペースエレベーターの開発は大きな意義を持つ。
スペースラインが完成すれば、現代のロケット打ち上げのコストや打ち上げ失敗によりリスクなど多くの課題を大幅に削減することが期待できるのだ。

スペースラインは新たな素材を開発するのではなく、既存の素材を使用することで低コストでの開発が実現可能だ。
プライベートな宇宙旅行をより気軽に行える手段を切り開き、宇宙空間をより研究しやすくする新しい宇宙ベースの開発まで可能としてくれる。
将来の研究者に対して、地球と月の間に軌道望遠鏡や研究機関をつなぐことさえ可能としてくれるかもしれない。

スペースエレベーターの開発は、実は日本でも取り組まれている。科学者やSFファンの夢物語で終わらせず、本気の開発が科学者の間で行われているのだ。
一番の課題は技術上の問題で、中でも宇宙から地上へ吊り下ろせる強度を持つケーブル素材の開発が求められている。
1991年に課題を解決するための条件に応えられる素材として、カーボンナノチューブが日本で発見されたのだ。
これを契機に世界で一気にスペースエレベーターの開発に向けた議論が加速された。
アメリカでの研究が進められているのも、この日本での発見がもととなり、具体的な建造計画の提案へとつながったのだ。

スペースエレベーターは人が地上と宇宙との間を往復したり、物資を輸送したりするうえで理想的な手段であり、日帰り旅行を可能にするといわれている。

参考:These researchers want to run a cable from the Earth to the Moon.

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