わずか2週間の注射で癌が治せる時代が到来する可能性

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イスラエルの科学者が、致命的な膵臓癌をわずか14日間で治療する方法を発見したと発表した。

新しい治療法を適用したマウスを使った実験では、2週間にわたって毎日注射を行うだけでマウスの癌性膵臓細胞の数が最大90%も減少したというのだ。
イスラエルにあるテルアビブ大学のMalka Cohen-Armonat教授が率いるチームによると、もともとは脳卒中患者を治療するために開発されたPJ34と呼ばれる分子を使用することで膵臓癌の治療に役立てることができるという。

マウスを使った実験では、人間の膵臓癌細胞をあらかじめ免疫抑制をして癌に罹患しやすくしたマウスに移植した。
その後、研究チームは14日間にわたって、PJ34による静脈内注射を実施し続けた。
すると、有糸分裂として知られる細胞複製プロセスにおいて、PJ34分子は細胞を自己破壊させる引き金となる異常を引き起こしたのだ。

制御不能な状態に複製された癌細胞においては、細胞複製を停止シグナルは腫瘍の制御にとって重要なカギを握る。
実験治療が終了してからわずか30日後には、癌細胞の80%〜90%の減少が観察された。
それだけでなく、健康な細胞への悪影響はゼロという驚くべき結果を提示した。

 

膵臓はモノ言わぬ臓器の典型であり、位置的にもほかの臓器に隠れて観察がしにくいうえ、癌の症状が現れるのが遅い特徴やかなり深刻化した症状にならないと患者が気付きにくいという特徴がある。
そのため、膵臓癌が発覚した際には、既にレベルが高い状況になっており、治療が最も難しい段階に達していることが少なくない。
膵臓癌の診断後5年以上生存する患者はほとんどいないというのが現実だ。

現在における癌治療の選択肢には、ほとんどのケースで化学療法が含まれている。
癌は癌細胞が次々と健常な細胞を癌化させ、全身を蝕んでいくという細胞分裂型の恐ろしい病気である。
化学療法はというのは、全身の細胞分裂を止めることを目的とした全身的なアプローチ法なのだ。
だが、大きな課題を残しているのが問題である。

それは癌細胞だけを標的にする、ターゲティングができないことだ。
つまり、癌細胞の分裂だけを止めることができず、全身の細胞複製に影響をもたらしてしまう。
そのため、健常な細胞も含めて、細胞分裂が全身で滞り、多くの患者に脱毛や消化管の炎症、血球産生の低下といった辛い副作用をもたらすのだ。

これに対して、PJ34は癌細胞のみをターゲットにすることが可能だ。
健全な細胞には全く影響がなかったという好結果も残している。

この実験結果は膵臓癌のみならず、これからの癌治療の世界に革命をもたらし、患者の生活の質を大幅に向上させる可能性を秘めている。
研究チームにおいても、膵臓癌だけでなく、乳がん、肺がん、脳癌、卵巣癌における攻撃的な形態の細胞培養物で治療テストを成功させたという。
この成果を実用化できれば、健康な人間の寿命をも大幅に向上させる可能性があるとチームは述べている。

参考:Israeli scientists find a way to treat deadly pancreatic cancer in 14 days.

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