再生可能エネルギーの拠点としてよみがえりつつある福島

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日本では、福島第一原発の事故があったエリアを、再び発電所にしようとしている。
ただし、今回は原発ではなく、再生可能エネルギーの拠点としてだ。

計画では、日本政策投資銀行とみずほ銀行の融資を受けつつ、この地に約3,000億円を新たに投じて、11の太陽光発電所と10の風力発電所からなり、600メガワットの発電能力を有する発電所が開設されるという。
この発電所は、予定では2024年3月に完成し、平均的なアメリカの家庭、約11万4,000戸分の電力を供給することになる。

発電所の規模としては、柏崎刈羽原発原子炉1基の約半分の出力、かつての福島第一原発の原子炉に比べても1基分にも満たないものであるが、再生可能エネルギー普及への貢献の一助になるであろう。
原発事故を受けて、未だに4万3,000人が避難を続けており、300平方キロメートル以上の広範囲が恒久的な帰宅困難地域とされている状況で、かつての原発跡地を発電所にしていくことは、土地の有効活用の方法の一つだといえる。

 

福島県では、2040年までに全エネルギー源を再生可能エネルギー由来とすることを目標としており、今回の計画はその一助となることであろう。
また、かつての原発跡地を再生可能エネルギーの拠点とすることには、象徴的な意味も見込まれる。
事故を忘れず、前に進む目的に寄与するのみならず、国内、さらには世界で再生可能エネルギーをさらに普及させていくきっかけになるであろう。

世界的には、パリ協定を受けて温室効果ガス排出量を削減する取り組みが行われている。
東日本大震災が発生する前の日本では、京都議定書などに基づき温室効果ガス排出の削減に取り組んでいたが、そのための主力エネルギー源とされていたのが原子力発電であった。
資源小国である日本にとっては、一度原子炉に入れてしまえば何十年も使え、かつ莫大なエネルギーを得ることができる原子力は、発電量が全般に少ない再生可能エネルギーよりも魅力的に映ったからである。

しかし、地震のリスクがほとんどなく、大部分の発電量を原子力に移行させたフランスと異なり、地震や台風などの自然災害の多い日本では、根本的に原子力の活用には大きなリスクがあった。
新潟県中越沖地震で被災した、当時世界最大の原発でもあった柏崎刈羽原発は幸いにも被害を免れたが、福島第一原発事故では、原発自体相当に災害対策を重ねていたにもかかわらず、想定外の津波による浸水を許し、機能停止と事故の発生につながったと考えられている。

この想定外の災害で露呈した想定外への脆弱性から、原子力に求められる安全基準は世界的により厳格なものとなった。
現在では、最も原子力発電への意向を推進していたフランスでさえ、2030年から35年までの間に原子力発電比率を50%まで低減させるという目標を掲げており、世界的に自然エネルギーや再生可能エネルギーへの移行の流れが活発化している。

その大きなきっかけとなった福島第一原発跡地が実際に再生可能エネルギーの拠点として再活用されることは、そのようなこれまでの流れの一つの集大成であるともいえ、今後に向けた転換点にもなってくるであろう。

参考:福島で再エネ発送電網、政投銀など一部に融資枠

参考:Japan is reinventing Fukushima as a renewable energy hub.

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